10/10(木)【保健委員会】第4回学校保健委員会「心の健康教室」3
※この記事は「心の健康教室」2の続きです。
~講演~
本日のお話は、「セルフケアとストレス管理」がテーマです。中学生の時期は心身の成長期であり、多くの生徒が環境の変化や部活、勉強、人間関係などでストレスを感じています。この時期に自己分析を通じてセルフケアを習得することが重要です。
〇ストレスとは何か
ストレスは、心身に過剰な負荷がかかることで生じる歪みを指します。ストレスの原因となる出来事を「ストレッサー」、それに対する心と体の反応を「ストレス反応」と呼びます。日常生活において、天候や人間関係、学業など、さまざまなストレッサーが存在します。ストレスは避けることができません。ストレスに対処するためには、セルフケアが不可欠です。
〇ストレスの分類
ストレスは以下の三つのタイプに分類されます。
物理的ストレッサー:気温の変化や騒音など外的要因によるもの。
化学的ストレッサー:タバコやアルコールなどの化学物質による刺激。
心理社会的ストレッサー:人間関係や学業など、日常生活に関わるもの。
また、ストレス反応は次の四つのカテゴリーに分けられます:
認知反応:頭に浮かぶ考えやイメージ(例:「失敗したらどうしよう」)。
気分・感情反応:不安やイライラなどの心の反応。
身体反応:頭痛や胃痛、息苦しさなどの体に現れる反応。
行動反応:泣く、怒る、逃げ出すなどの行動として現れる反応。
〇セルフケアの重要性
ストレスは避けられないため、自己の性格や行動パターンを理解し、適切にセルフケアを行うことが大切です。セルフケアができていないと、将来的に心身に不調をきたす可能性があります。反対に、無意識にセルフケアができている人は、そのメカニズムを意識化し、さらに強化することが大切です。
〇心理カウンセリングに関する文化的視点
アメリカでは心理カウンセリングの利用率が30~40%で、日本は約6%と大きな差があります。日本では、心の病と診断された人や、不調を感じた後に受診する傾向が強いです。アメリカやイギリスでは、カウンセリングを受けることが日常的で、歯科医の受診と同様の感覚で行われています。アメリカの大統領や著名なアーティストも日常的にカウンセリングを受けており、メンタルケアが文化として根付いています。日本でも、心の健康を維持するために定期的にカウンセリングを受け、予防的にケアする意識を高められると、早期発見・早期解決につながります。
〇コーピングについて
コーピングとは、様々なストレスに対して適切な対処を意図的に行っていくことをいいます。
認知的コーピング:頭の中で考えたり、イメージしたりすること。嫌な事があっても、「気にしない」とか、失敗したときに「次、頑張ろう」とか、考え方を変えてみたり、自分を褒めてみたりすること。
行動的コーピング:具体的な行動を伴うこと。スポーツで発散する、大声で怒鳴ってみる、だらだらする等。
認知的コーピングや行動的コーピングを意識して、自分だけのコーピングレパートリーを増やしていきましょう。大体50個から100個くらいあるといいといわれています。
★講演の際、生徒の考えを表示したり、アンケートを実施するツールとして「Padlet」を使用しました。リアルタイムで生徒の意見を確認し、講演内容に反映することができました。ステージの裏ではICT支援員の小木様が操作をしてくださりました。
~体験活動~
本会に参加する前に、パソコンを使用した事前ワークで「エゴグラム」という心理検査を用いて、質問に答えてもらいました。自分の性格傾向を客観的に把握できるものです。エゴグラムは、5つの性格タイプ(厳しい親、優しい親、合理的な大人、自由な子供、順応した子供)に基づいており、それぞれが自己理解を深めるための指標として活用することができます。
~生徒・教職員感想~
〔生徒〕
・小学校の頃にも心の健康教室はあったのですが、ストレスについての説明だけでした。でも今回の学校保健委員会ではパッドレット(PC)を使って意見を集計したり、自分の分析を見れたりしてとても面白かったです。保健委員の運営もスムーズに進行されていたり、発表の声がはっきりとよく聞こえてきたので内容が頭にスッと入ってきました。
・スクールカウンセラーさんの貴重なお話を聞くことができて良かったです。小学校でもスクールカウンセラーさんに関する手紙は度々配られていましたが、なんとなく近寄りがたい雰囲気と自分にはあまり関係ないかな。と思っていました。しかしいざ悩みや相談したいことができた時にスクールカウンセラーさんの存在はとてもありがたいものだなと感じました。保健委員会の進行も前回は2年生が中心に動いていた印象でしたが、今回は1年生保健委員だけで運営ということで、先輩たちにも劣らない活躍ぶりだったと思います。ありがとうございました。
・心の不安定について学校で習ったことはあっても、ストレスやコーピングについてなど、詳しく講義をして頂いたことはなかったです。今回の会で自己理解に繋がったと思いました。自分自身で心をコントロールするのも若干難しい時期ではあると思うので、なるべく多くストレス発散法を持っておきたいと思った。また、なるべく相談して自分から自分の状態を発信できるようになりたいと思いました。
・コーピングとして、自分は音楽を聴くことを多く行っていました。しかし、それはスマホやCDがないとできないコーピングであり、今回質より量ということを学んだので、音楽を聴く以外に自分なりのコーピングを調べたり、見つけていきたいです。体験活動ではエゴグラムで自分の内なる性格がわかり、自分を見つめることができてとても楽しかったです。また周りと話し合う時間があったことで、自分の周りの人のことを知れてよい機会でした。
・エゴグラムで、私という人間を再確認できたので、私の特性を活かしてこれからの学校生活を充実させていこうと思いました。ストレスとの向き合い方やストレスを解消する方法もわかりました。今後の学校生活がもっと楽しくなりそうです。
〔教職員〕
・アメリカと日本の心理カウンセリングの利用率比較のところが印象的でした。日本は心の病になったら行くというイメージですが、アメリカは予防のために自己管理として行くことが多いそうで驚きました。自分なりのコーピングを増やしながら、これからもストレスとうまく付き合っていきたいと思います。「ストレスは人生のスパイスだ」という言葉を、私も誰かに伝えたいなと思いました。保健委員さん、スムーズな運営や素敵な発表ありがとうございました。講師の先生方の紹介がクスッと笑えて、親近感を感じながら話を聞くことができました。
・悩みがたまり始めたであろう1年生のこの時期にこのテーマ(ストレスや悩みについて)学ぶことはタイムリーに感じました。教師からではなく講師から学ぶのは良いことだと思いました。
・スクールカウンセラーさんのお話が穏やかでわかりやすく、生徒が自分自身と向き合える時間になったように思います。保健委員の話し方もとても上手でした。
-お礼-
今回は生徒・教職員・講師で実施する学校保健委員会でした。このHPを通してご報告とさせていただきます。今後も実施の様子をこのホームページに掲載しますので、ご覧いただけたらと思います。日頃から学校保健活動のご理解・ご協力ありがとうございます。